BioTransport多難の船出、他

クライオニクス・マガジン(第16号 2000/8)

うだる暑さで記事も書けません。今月も遅れての発行です。
液体水素にひたってみたい・・・

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BioTransport多難の船出
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アルコー、クライオケアに新しいサスペンション(低温保存)
サービスを提供するはずだったBioTransportが別のサービス
で事業を開始することになりました。細胞の低温保存です。
細胞を低温保存してもreanimation(回復)できるわけでは
ありません。回復の際の参考情報にはなるでしょうがあくまで
補助的な手段です。補助的といえな、たとえばペットの細胞を
このサービスで保存しておき、自分が復活したあとペットの
クローンを作るという利用法があります。(ペットがなついて
くれるかどうかは別の問題ですが・・)

マガジン創刊からの読者には繰り返しになりますが、
BioTransportは、サスペンションサービスを現在の技術水準まで
引き上げるために設立されました。現在、アルコーが使っている
手法は1970年代に開発されたものであり、以後、大きな
改善は施されていません。この技術で最も進んでいる21st Century
Medicineの技術でより損傷が少ないサスペンションサービスを
提供しようとしているのです。残念ながら、サービスの開始時期は
アナウンスされていません。

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ポールへの支援
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一昨年来日し、日本のクライオニクス関係者にもなじみが深い
Paul Wakferが進めているプロジェクト、
Hippocampal Slice Cryopreservation Project (HSCP) が初年度の
計画をほぼ終了し、次年度の資金を求めています。
このプロジェクトの最終目標は、完全な、復活できる状態での低温保存
技術の開発で、HSCPの成果はまだまだ先にならないとでてきませんが、
数少ないこの分野の研究プロジェクトです。日本からもいくばくかの
資金を提供できればと思っております。くわしくは以下のHPを
ごらんください。
http://www.neurocryo.org

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日本でのサービスを受ける体制の整備
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JCAでは、日本でクライオニクスを受ける希望者が受けられるように
する環境整備に着手する予定です。5月号を参照いただきたいのですが、
homas Donaldsonさんの投稿が示すように、事故等の突然死を別にすれば、
死は徐々にやってくるもので、その場合、市民権なしに米国にわたって
サービスを受けることは可能なので、そのための枠組みを作ったらどうかと
いうことです。

具体的には、生命保険の受取人を米国のクライオニキストにして、その人に
手数料を保険金の中から払って動けなくなったとき誰に助けてもらう契約を
すればいいわけで、その契約のひながたをアルコーと協力して作ろうかと
思います。その契約の中でサインアップ代行までやってもらえば実に簡単です。
契約の写しは必ずアルコーにいくようにするのです。

復活のほうは Metamorphosis Society での復活を考えていますが、
米国にわたってLifepactにはいるという選択も選べるようにしたほうが
いいと思います。

8月から数か月でこの調整とひな型作りをします。この作業をいっしょに
やっていただける方を募集します。ご連絡お待ちしております。

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M-200011050750000000015596000
241618

評判の ”The First Immortal” 日本での翻訳へ(その2)、他

クライオニクス・マガジン(第15号 2000/7)

1日遅れの発行です。そのわけは? 7月1日に面白いニュース
が入ってきたからです。日本の経団連も、なかなかやるなあ!

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評判の ”The First Immortal” 日本での翻訳へ(その2)
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今月号は「解説」からの抜粋です。大変面白いSFで
あることがおわかりいただけると思います。

--- 解説 ---

私たちは「死ぬ」最後の世代になるかもしれない。人類が自ら滅亡を招かなけ
れば、私たちのひ孫(もしかしたら子供)の代で死を克服できるかもしれない
のだ。

二十一世紀は、技術の進歩が文明に計り知れない影響を与える時代となるだろ
う。小説「The First Immortal」が示しているのは確かに楽観的な未来だが、
もしかしたらそれほど楽観的ではないのかもしれない。人間の生活は、ここ数
世紀で着実な進歩を遂げている。

22世紀のいつか、私が本書で描いたような世界が実現すれば、低温保存(クラ
イオニクス)された人々はきっと復活できるだろう。人命を第一に考える科学
を発達させた社会なら、氷の眠りから人々を目覚めさせてくれるにちがいな
い。だが、たとえ復活できたとしても、20世紀に生まれ育った私達が未来の社
会に溶け込んで、純粋にユートピアを楽しむことなどできるだろうか?

人間は意外に優れた適応能力を持っている。たとえば、500年前の昔からいき
なり現代にやってきた人がいるとしよう。最初は苦労するだろうが、じきに現
代の生活を「奇跡」として楽しむようになるに違いない。

少しでも長く健やかな人生を送りたいという欲求は、決して傲慢なものではな
い。この小説を執筆するために2年間の調査を行なったが、その間、私はクラ
イオニキストの世界にどっぷり染まった。クライオニクス関連のニュースレ
ターを読んだり、メーリングリストに加わったり、ニュースグループをチェッ
クするだけでなく、複数の団体に所属し、数えきれないほどのクライオニクス
/ナノテクノロジー関連の本やホームページの情報をむさぼり読んだ。クライ
オニクスに関する偏見を捨てて、クライオニクスの先駆者達とメールのやり取
りをした。クライオニクスを批判している人、懐疑的に見ている人、皮肉な見
方をしている人の主張にも耳を傾けた。このような調査を通して、私はクライ
オニクスの可能性を実感し、自ら進んで少々冒険してみることにした。

・クライオニクスは可能なのか?

生物は自らの細胞を自己修復できるが、それを人工的に行なう技術はいつに
なったら完成するのだろうか? それはまだまったくわからないが、私達には
時間という強い味方がいる。液体窒素を使って低温保存すれば、何千年もの長
期間、細胞をほとんど完璧に安定した状態にしておくことができる。

「生命は単なる物質ではない」と主張し、よく「冷凍保存されたら、魂はどう
なってしまうのか?」と疑問を唱える人がいるが、考えてみてほしい。冷凍保
存された受精卵から生まれ、今でも生きている人はたくさんいる。彼らを見れ
ば、冷凍保存されている間も魂は死なないと確信できるではないか。(魂とい
うものが存在すればの話だが。)

50年前、多くの科学者は宇宙旅行など不可能だと思っていた。音速の壁は破れ
ないと信じられていたのだ。40年前、多くの医師は心臓移植など科学的に不可
能だと思っていた。30年前、ラップトップコンピュータや携帯電話、インター
ネットがこれだけ普及することを想像できた人がいただろうか? すでに、マ
イナス32度(華氏)の水に一時間以上も浸かり、医学的に「死亡」と診断された
にもかかわらず、奇跡的に生き返った人々の例が報告されている。小さな生物
は定期的に「凍る→生き返る」というサイクルを繰り返している。成長した哺
乳類が深く凍った状態から生き返った例がないというだけで「クライオニクス
はできっこない」と主張するのは、無知をさらけ出すようなものだろう。今や
医療は凍傷を治療できるまでに進歩した。この調子だと、若返りも不可能では
なくなるだろう。そうすれば、クライオニクスという一時しのぎの手段は必要
なくなる。

何千ページの文字データがマイクロチップ1枚に記憶できる時代だ。それを考
えれば、今後数百年間で、損傷した細胞を分子レベルで修復できるようになる
ことが想像できないだろうか。ナノテクノロジーやその他の手段により、それ
が可能となるかもしれない。

もし、あなたが氷の眠りに望みを託そうと考えているなら、以下に掲載した資
料と助言が参考になるだろう。受け入れるも拒絶するも、あなた次第である。

・文献、推薦図書

The Prospect of Immortality「不死への展望」 C.W.エッチンガー
1960年代の前半に出版された、クライオニクスの原点とも言うべき本。実
際は、この本に書かれているほど時代は急速な進歩を遂げてはいない。

Engines of Creation「創造する機械」 E.ドレクスラー 相澤益男訳
パーソナルメディア 1992
ナノテクノリジーに関する本。明快でよくまとまっており、大変わかりやす
い。私見だが、科学関連の書籍の中でもトップレベルに属する1冊。

Cryonet
クライオニクスに関する無料メーリングリスト。「subscribe cryonet」とい
う文章を本文に(ヘッダではなく本文)に打ち込んだメールを
majordomo@cryonet.org 宛てに送るだけで、誰でも購読できる。

Cryonics
アルコーの機関誌。年4回発行で、内容も優れている。米国以外の国から購読
する場合は、25ドル。
購読申込み先:
Alcor
7895 E.Acoma Dr.
Suite 110, Scottsdale
AZ 85260, U.S.A.

www.alcor.org
アルコーのホームページ。クライオニクスやナノテクノロジー関係のホーム
ページとのリンク多数。

www.extropy.org
Extropy Instituteのホームページ。未来の優れたテクノロジーを利用して人
間の限界を超えようと、さまざまな探求を行なっている非営利団体。

www.foresight.org
Foresight Institute(inform@foresight.org)のホームページ。ナノテクノ
ロジーの最新情報がわかる。
Foresight Instituteの住所:
P.O. Box61058
Palo Alto
CA 94306, U.S.A.

www.firstimmortal.com
この本のホームページ。会議室に本の感想などを書き込むことができる。私
(ハルペリン)も時々チェックして、読者からのメールに返事を送っている。

Life Extension Foundation
P.O. Box 229120
Hollywood, Florida 33022-9120
U.S.A.
電話:800-544-4440
「Life Extension」誌を発行。高品質で格安の健康食品やビタミン、西洋医学
以外の代替医療に関する情報なども提供している。年間購読料40ドル。ホー
ムページは www.lef.org

・クライオニクス関連の団体

以下に挙げる施設6ヶ所は、有名で優秀かつ良心的な個人が運営しているらし
い。積極的な顧客獲得は一切おこなっておらず、クライオニクスを完全に理解
している人だけに凍結を勧めている。契約した「患者」の維持お金がかかるた
め、大学のように寄付金で不足分を補っている。さらに、これらの施設はクラ
イオニクス以外の分野でお金を稼いでいるのが実態である。したがって、問い
合わせた人には惜しみなく情報を与え、質問にも答えてくれるだろうが、いわ
ゆる「顧客対応」はまったくおこなっていないし、熱心に加入を勧めることも
ない。これらの施設に手取り足取りのサービスを期待してはならない。あなた
が彼らに「合わせてほしい」と望むのではなく、あなたの方が彼らに合わせな
ければならないのだ。

Alcor Life Entension Foundation(アルコー延命財団)
1972年に創立された世界最大の非営利非課税クライオニクス団体。現在、
12万ドルで全身凍結、5万ドルで頭部凍結をおこなっている。生命保険での
支払いも可。

American Cryonics Society(米国クライオニクス協会)

Cryocare(クライオケア)
凍結および保管を行なう非営利団体。非課税ではない。現在、12万5000
ドルで全身凍結、5万8500ドルで頭部凍結を提供している。生命保険での
支払いはおそらく可能。

Cryonics Institute(クライオニクス研究所)
非営利で1976年に設立された。資金の少ない人には最適。たった2万80
00ドルで全身凍結をしてもらえる。生命保険での支払いもおそらく可能。

International Cryonics Foundation(国際クライオニクス財団)

Trans Time, Inc.(トランスタイム)

もっとも安上がりな方法は、クライオニクス専用の生命保険契約を結び、所属
しているクライオニクス団体を保険の実質所有者とすることである。インター
ネットでQuickquote (http://www.quickquote.com)にアクセスすれば、無数の
保険会社が提示する保険プランの中から、いくらでも安いものを選ぶことがで
きる。健康でタバコを吸わない44歳の男性であれば、年額277.5ドルの
掛け金で12万5千ドルの定期生命保険(期限付き保険)に加入できる。しか
し、実際クライニキストの多くが選ぶのは終身保険だ。最初は高くつくかもし
れないが、長い目で見ると終身保険の方が得だからである。
たしかにクライオニクスの契約手続は複雑で、事前準備も大変である。しか
し、いったん決心をしてしまえば、手続きは決して難しいものではない。人間
というものは伝統にしがみつきたがるものだ。さまざまな文化的規範を受け入
れ、それに屈服するという遺伝的傾向をもっているのである。そのうちのひ
とつは、これまでは避けえないものであった。

さらに、凍結処理の申込みにはさまざまな事務手続き(必要な署名を獲得する
こと、自らいろいろな問い合わせをすること、書類の書き込みなど)を踏まな
ければならないのに、人々は本能的な恐れから死そのものについてじっくり考
えることを避けたがり、書類の提出などをずるずると先延ばしに傾向がある。

とりあえず2ヶ所以上のクライオニクス団体に電話をして、案内書一式を送っ
てもらおう。案内書を受け取ったら、とにかく目を通してみる。そして、よく
考えた上で、タイミングを逃さないように決断をするのだ。その際、感情はで
きるだけ排除する。いったんクライオニクスに飛び込む決意を固めたら、何が
あっても歯を食いしばり、手続きを進めるようにしよう。

毎日、無事に生き長らえるたび、あなたが現代の限界をはるかに超えた寿命を
手に入れる確率が増えていく。人体冷凍保存の技術は今後どんどん改善されて
いくだろう。だから、健康な状態で長く生きれば生きるほど、氷の眠りから覚
めた後も今の自分とまったく同じ人間として生き返ることができるようにな
る。そのためには、今後も健全な精神と記憶力を保たなければならない。自ら
の健康維持は、別の意味で重要になってきているのだ。

最後に、(無知の愚かさが社会の態度を変える試みを結果として引き起こすこ
とはあっても)あくまで成果を伴った変革を起こすための鍵は「情報普及」だ
とつけ加えたい。本書「The First Immortal」または本書に書かれているアイ
デアがすばらしいと感じた方は、ぜひ他の人にも一読するよう勧めてほしい。
そうすれば多くの人々と共通の土俵で議論できるようになる。そして100年
後、それよりずっと後になって、あなたは人々に感謝されるかもしれない。も
ちろん、限界も不可能も存在しない社会において…。

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ナノテクノロジーの最近の話題
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ナノテクノロジー関係の動きから目が離せません。

今年はクリントン大統領がナノテクノロジーの推進を明確にした
という意味でもこの分野のターニングポイントとなる年でしょう。
いくつかのトピックを挙げます。

ちなみに、日本政府も重い腰があがるかもしれません。最近、
経団連では最近ナノテクノロジーの開発を促進するための専門部会
を発足させました。7月にも米国のような産学官の研究プロジェクト
を発足させるよう政府に提言する予定とのことです。

フォアサイト研究所は6月16日に
Foresight Publishes Guidelines for Development of Nanotechnology
を発表しました。これはナノテクノロジーの研究を安全に責任を持って
進めていくことを宣言するものです。ナノテクノロジーが人類に与える
様々な影響は甚大になる可能性があります。このようなガイドラインが
タイムリーに発表されるあたり、米国は日本より健全な国なのかも
しれません。詳細はこちらをどうぞ。
http://www.foresight.org/guidelines

フォアサイト研究所は、ナノテクノロジーに関するディスカッションのため
に新たなサイトを立ちち上げました。大変豊富に情報があります。
以下にぜひおでかけください。
http://nanodot.org

“Engines of Creation 2000″ というプロジェクトがはじまっています。
ナノテクの聖書? Engines of Creation は何千人もの人間をこの分野
に招くことになりましたが、なにせ1986年の出版で古くなっています。
これを見直そうというものです。くわしくは、以下のURLでどうぞ。
http://www.foresight.org/engines/index.html

ナノメディスンも日々成長しています。
(1)”volume I of Nanomedicine” がWEBで見られるようになりました。
http://www.nanomedicine.com/
(2)フォアサイト研究所はこの分野のページをリバイスしました。
http://www.foresight.org/Nanomedicine/index.html
(3)アートギャラリーの画像も必見です。
http://www.foresight.org/Nanomedicine/Gallery/index.html

8回目を数える今年のナノテクカンファレンス
(FORESIGHT CONFERENCE ON MOLECULAR NANOTECHNOLOGY)
は11月3日から5日です。くわしくはこちらをどうぞ。
http://www.foresight.org/Conferences/MNT8

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評判の ”The First Immortal” 日本での翻訳へ、他

クライオニクス・マガジン(第14号 2000/6)

日本初、そしてもちろん唯一のクライオニクス
(人体冷凍保存)についての雑誌です。
今月も発行が遅れてしまいまして申し訳ありません。

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評判の ”The First Immortal” 日本での翻訳へ
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「不死」ということに科学的に、倫理的にするどく切り込み、
全米で評判の”The First Immortal”を翻訳を検討しています。
「気味が悪いもの」と敬遠されがちなcryonicsの正しい理解を
日本で広めるのにまたとない本です。

翻訳をいっしょにやってみたいという方は、ぜひご連絡ください。
cryo-j@kanon.toでお待ちしております。

今月号では予告編として”The First Immortal”の短い書評を
いくつかお送りします。

---------------------------

読み出したら止まらない。面白くて、ぐいぐい引き込まれる本だ。
作者Halperinはさまざまな面をもった複雑な登場人物を描きつつ、
彼らの感情的な葛藤や心の奥に潜む欲求を見事につむぎあげている。
これは単なるSF小説ではない。絶対に読んでほしい。
- 「The California Aggie」誌
読むものを惹きつけてやまず、ところどころに真の予見を散りばめて、
読者の注意を喚起する。処女作「The Truth Machine(真実の機械)」
と同様、Halperinは今回の作品でもテクノロジーを前面に押し出し、
中心に据えた。しかし、これは詰まるところ人間ドラマであり、
近未来に実現するかもしれない「不死」について政治的・社会的な
示唆を提示したものである。
- アマゾン・ドット・コム

人類にとって既知のテクノロジーがどこまで発展するかを論理的に
示したのが、真のSFである。その最たる例が「The First Immortal
(最初の不死)」だ。SF小説にありがちな突飛な手法(トリック)は
まったく使われていないが、SF初心者でも安心して科学的な専門用語
や複雑なストーリー展開を理解することができる。
- 国際出版(Uniited Press International)

現在すさまじい勢いで発達している精神とテクノロジー。21世紀には
きっと私たちを死にゆく存在から不死の存在へと変えてくれるだろう。
それを実現可能な未来として描いた初の小説である。
- 延命協会(Life entension)

Halperinは未来を実に具体的かつ巧みに描いているので、「明日の朝、
目覚めると、本当にこんな世界になっているのでは?」と本気で
思い込んでしまうかもしれない。
- アーネスト・リリー(「SFレビュー」誌)

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5月のJCAミーティングの報告
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今年になってから集まらなかったJCAですが、5月、
カリフォルニア在住の日本人cryonicistMさんの来日で、2回の
ミーティングを行ないました。8日には渋谷でMさんとそのパートナー
Rさん、クライオニクス関係の翻訳をお願いしているYさん、そして
私Tがミーティングをしました。RさんはMike Darwinのサスペンション
チームにいたこともあったこの世界では古株の方で、これまでJCAと
接点がなかったのが不思議でした。12日はMさんとTに、JCA発足時
からのメンバDさんと、ホームページを見て最近MLに参加した
Jさんでミーティングしました。Jさんは、「日本には生と死について
情報が少なすぎる。3-40年後には不死が実現するかもしれないと
いうのに」と危惧されていました。”The First Immortal”の翻訳の
話もここで出ました。2回のミーティングに参加した6人のうち、
日本在住日本人は私T一人という寂しい結果でした。
きたれ! 未来に意欲ある日本人!

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“Cryonics Community” Proposed by Dave Pizer、他

クライオニクス・マガジン(第13号 2000/5)

日本初、そしてもちろん唯一のクライオニクス
(人体冷凍保存)についての雑誌です。
今月は最近cryonetで盛り上がっている、”Cryonics Community”
とその関連についての報告です。

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“Cryonics Community” Proposed by Dave Pizer
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クライオニクスの世界では老舗の団体のひとつ”The Venturist”の創立者
Dave Pizerが「クライオニクス・コミュニティ」のプランを発表しました。

Phoenix/Scottsdaleの北に車で1時間のところに40エーカーの土地を買い、
cryonicistのためのコミュニティを作るのだそうです。
牧場や小さな町が周辺にあり、75000人が住むPrescott and PrescottValley
までは25分の距離で、4000feetの高台にありそんなに暑くないそうです。
(1エーカーは40アール、すなわち400m四方の土地ですね。けっこう広い)

小さな小川があり多くの植物が生息、うさぎやきつねなど多くの動物鳥がいます。
地震など災害のない安全な地域ですが、大きな病院はPhoenixに行かないとない
のだそうです。この小川にそってキャビンなどリゾート施設を作るのだそうです。
クライオニキストが買ったり借りたりできるように。

施設としてのホスピス、あるいは在宅ホスピスサービスも提供し、
コミュニティ集会用ビルでは温泉がありエクササイズができるようにし、リゾート
施設としても使い、リゾートからの収益をcryonics communityの運営に当てたい
とのこと。コンピュータやライターという専門家を得て、cryonicsや
life-extension出版事業やTVトークショーもやりたいそうです。

次の課題は資金集めで、今年の終りまでに完了することを計画しています。
それまで計画はFIXしませんが、現時点では建設は3段階に分かれて行なわれる
予定です。

ステージ1
18か月以内、10の小さなキャビンと1つの管理ビルディング、
ログハウスのタイプで、上下水道のコストなど不明であるが、
50万ドルから80万ドルくらいでできると思う。お金は
12か月以内、もしくはもっと前に集めたい。

ステージ2
3年以内、キャビンも増えるだろうが、どのようになるかまだ
わからない。レストランなどが加わるだろう。

ステージ3
5年以内、温泉やエクササイズ施設、TVトークショーや出版などが
できるだろう。カンファレンスもできる施設が整うだろう。
(最終的に、キャビンは30くらいか)

この”Cryonics Community”には日本からも積極的に意見を出して、
かかわっていきたいと思います。

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移住か? 死ぬ為に直前に行くか?
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“Cryonics Community”に米国人以外のひとがどうやったら参加
できるか、という問いかけが発端となって、米国人以外がどうやって
低温保存のサービスを受けるのかという議論に発展しました。

ある人からは、イミグレーション・ファウンデーヨンを設立し、移住
について詳細に検討しようという案も出てきました。

その議論の中でオーストラリア在住のThomas Donaldsonさんの投稿が
興味深いものでした。彼が言うには、事故等の突然死を別にすれば、
死は徐々にやってくるもので、半年前くらいからわかるわけであり、
もし事前に準備がなされていれば、市民権なしに米国にわたって
サービスを受けることはできるだろうとのことです。

まず既存のクライオニクスコミュニティにはいったうえで、
動けなくなったとき誰に助けてもらうかのプランを含めて、
何か起こったときのプランを作ればよい、とのこと。
移住するのは難しいが、死ぬために米国に来ることをさまたげる
法律は何もないのだそうです。

米国ではクライオニクスに協力的な医者を見つけるのはたやすく、
実際、オーストラリアから一人もう行って死を待っている人が
一人いるそうです。これは私たち日本人にとってもありがたい
情報です。Cryonetで議論を深め、また報告したいと思います。

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A4M 1999年カンファレンスの報告、他

クライオニクス・マガジン(第12号 2000/4)

日本初、そしてもちろん唯一のクライオニクス
(人体冷凍保存)についての雑誌です。
今回12号、1年間のご愛読ありがとうございました。

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A4M 1999年カンファレンスの報告
======================================================

A4M(American Academy of Acchi Aging Medicine)のカンファレンス
が12月11日から13日までラスベガスで開かれ、2000人を
超える医療関係者、科学者が集まりました。トピックは以下の通りです。
(1)HGH
最大の話題はFDAがHGH(Human Grouth Hormome)の老化防止に
効用があることを認めたことです。このことは、研究者の間では周知の
事実でしたがやっと政府機関が認める段階になりました。日本でも
HGHは入手できますが、正しく処方できる医者はほんの少数ですので
使うのは少し待ったほうがいいでしょう。
(2)Respirocyte
何て発音するか正確にわかりませんが、ナノテクノロジーの分野で
新しいアセンブラ(ナノレベルの大きさのロボット)が提唱されました。
くわしくは、http://www.foresight.org/Nanomedicine/Respirocytes.html
をごらんいただきたいのですが、Robert Bradbury氏の考案した球形の
ロボットで、これを医療に用い、2060年には人間の寿命を千年に
延ばせるというすごい話でした。今後が楽しみ!
(3)ALCORのブース
Biotransport社で開発中のATP(Air Transpotable Perfusion)の展示
がありました。ATPがヘリコプタで飛ばせるまでになれば、日本でも
使えるのではないかと期待されます。ATPによってきちんと初期処置
ができれば、長期保管のための処置をするまでかなり時間がかせげる
からです。この装置の開発からも、目が離せません。
(4)医療者ネットワーク
Biotransport社のRobert Newport氏により、医療者のネットワーク結成
の提案があり数十名が参加しました。このネットワークによって、米国内
では「もしも」のときに迅速に医療者が駆けつけ、低温保存のための
初期処置をすることが可能になるでしょう。

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ナノテク2題
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ナノテク関連の動きが活発です。アセンブラを製作するための
主要な道具を開発することを目的に設立されたZyvex社に
ナノテクの分野では名高いRalph Merkle博士が参加することが
決まりました。また、クリントン政権が、基礎研究を重視しナノテクに
力を入れていることは以前お知らせしましたが、いよいよ国家で基金を
設立して研究を進めるとのことです。くわしい記事がhttp://
www.nytimes.com/library/tech/00/01/biztech/articles/21chip.html
にありますので英語OKのかたはぜひどうぞ。
(読むには登録が必要ですが無料です)

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アルコーカンファレンス(6月17-18日)
======================================================

さ来月のカンファレンスの詳細がほぼ決まりました。
http://www.alcor.org/LET2000/tc.htm にスピーカの演題が
掲載されています。21st Century Medicine やフォアサイト研究所
の常連(G.Fahy,B.Wowk,E.Drexler,Ralph Merkleなど)の他に
Nanomedicineの関係者が増えたことが注目されます。なかでも
冒頭に紹介されているGlenna Burmer博士の話は、DNA Microarray
(”gene chip”とも呼びます)を利用して老化遺伝子を識別するという
大変興味深いものです。JCAからも一人出席したいと考えています。

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