アルコーの信託制度がバージョンアップ!、他

クライオニクス・マガジン(第5号 1999/09)

日本初、そしてもちろん唯一のクライオニクス
(人体冷凍保存)についての雑誌です。
まぐまぐ、パブジーン同時発行になりました。

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アルコーの信託制度がバージョンアップ!
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Reanimationのための信託といえば Reanimation Foundation
が老舗です。信託制度が柔軟なリヒテンシュタインで投信を利用して
財産を管理し、自分が法的に死んだ後も財産を管理してもらうことが
できるすぐれもののグループですが、アルコーも信託制度をかなり
改善しました。今月はちょっと長いですが、アルコーからの発表文
を訳して掲載します。

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1999年6月26日
スティーブ・ブリッジ(アルコー生命延長財団理事会会長)

ALCOR’S BOARD MAKES PATIENT CARE TRUST IRREVOCABLE
アルコー理事会が患者ケア信託の「取消不能扱い」を決定

1999年5月2日、アルコー理事会の隔月会議で、「アルコー患者ケア信託
(Alcor Patient Care Trust)」を取消不能扱いにすることが満場一致で決定
された。これにより、アルコーで冷凍保存されている患者の資金保護がさらに
確実なものとなった。

アルコーの患者ケア信託は、アルコーの後援で設置されたアリゾナ州の公益信
託。税金(非課税)の面ではアルコーと同一団体となっているが、法的には
まったく別の独立した団体である。しかし、将来必要性が出てくれば、税金面
でもアルコーとは別の団体とすることもできる。

この信託の目的は以下の通り。
1. 「患者ケア」資金が患者ケア関連の目的以外に使われないようにするため
2. 資金目当ての訴訟から資金を守るため
3. 患者の冷凍保存を続けられるようにするため

「患者ケア信託」は、アルコー理事会が選出した信託委員5名が実行する。委
員のうち3名は現在アルコーで冷凍保存されている患者の親戚で、アルコー理
事会委員は1名のみ。任期は5年。一旦選出された信託委員を解任するのはむ
ずかしく、信託委員会の裁量権を守るため、数々の保護対策、チェック項目、
調整措置が設けられている。

この信託は1997年5月4日に設立されたが、当時はまだ「取消可能扱い」だっ
た(当時は将来の問題を具体的に想定することができなかったため)。しか
し、「取消可能扱い」のままにしておくと、アルコーの理事会はいつでも信託
を無効にすることができる。

信託を「取消不能扱い」にすると、信託の目的(=患者全員が蘇生されるまで
患者を冷凍保存しつづけること)が果たされるまで、アルコー理事会は信託を
「廃止」することができなくなる。

今回の「取消不能扱い」決定に至るまで、信託の一部修正がおこなわれた。修
正した箇所は、以下の通り。
1. 信託資金の管理人の定義が曖昧だったので、この部分を書き直した。
2. 信託理事会の理事職に空きができたものの、理事の条件を満たす者(冷凍
保存されている患者の親戚)がいない場合、アルコー理事会と信託理事会がも
う少し柔軟性を持ってこのような事態に対処できるように(同時に彼らの権限
も限定できるように)、内容を書き直した。

信託は今後も変更できるが、「信託の目的達成に必要と認められた場合」で、
アルコー理事会と信託理事会で満場一致の賛成を得られた場合に限ることとす
る。ただし、信託の目的そのものを変更することはできず、信託を廃止するこ
ともできない。

現在の被信託人:

Gary Meade (Alcor Director, patient relative, and a corporate
attorney)
Warren Robertson (patient relative and a CPA)
Robert Schwarz (patient relative)
Carlos Mondragon (former Alcor Director and former President of Alcor)
David Brandt-Erichsen.
ゲーリー・ミード(アルコー取締役、患者親戚、企業弁護士)
ウォーレン・ロバートソン(患者親戚、公認会計士)
ロバート・シュワーツ(患者親戚)
カルロス・モンドラゴン(元アルコー取締役、元アルコー社長)
デビッド・ブラント-エリクセン

信託資金はここ2年間で急激に増加している。すでにアルコーから、神経患者
向け資金14,000ドル、全身保存患者向け資金70,000ドルが信託に投資されてい
る。アルコーと患者のための施設には抵当権(モーゲージ)が設定されてお
り、抵当権の所有者はアルコー患者ケア信託。患者ケアにかかる費用は抵当貸
し(モーゲージ)の支払い(金利)だけでまかなっているため、その分を差
し引いた資金(そのほとんどがSalomon Smith Barneyの株式債券)は手つかず
のまま増やすことができる。今後この信託への投資額がさらに増え、将来的に
は患者蘇生技術の研究も信託資金でまかなえるようになることを期待する。さ
らに、「現在の信託資金をこのまま増やしていけば、20年後には患者蘇生をす
べて信託資金でまかなうことができる」という楽観的な意見もある。

しかし、資金が底を突いてしまったら、一体患者はどうなるのか?
この問題は毎年のように理事たち(Directors)の間で議論されてきた。信託
が取消不能扱いとなった今、かなりの自信を持って「患者の冷凍保存を続ける
資金がなくなってしまう可能性は、ほぼ皆無」と言うことができる。

信託の全文テキストは、アルコーの冷凍保存プログラムに加入した会員と加入
手続きを始めた方々には3ドルで、一般の方々には18ドルで販売しておりま
す。一般の方が15ドル高くなっていますが、この15ドルは患者ケア信託の法的
手続費用の一部に充てています。18ドルで信託全文テキストをお買い上げいた
だいてから6ヶ月以内に加入手続きを始めると、加入費を15ドル割引いたしま
す。

信託が設置されるまでの経緯(1992〜1997年)と信託の要綱は、「Cryonics
Magazine」(3rd Quarter, 1997)をご覧ください。もしくは、アルコーの
Brian ShockかJoe Hovey(Tel. 602-905-1906)までお問い合わせください。

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信託でなく、信頼による Reanimation
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上の試みは、お金によってよみがえろうとするものです。
別のやり方で復活を追及しているグループもあります。
「グループを作って助け合って復活に備える」という団体では Lifepact
が老舗です。もし自分が回復(Reanimate)されたら Life Pactの他の
メンバーの回復に尽力するということを誓うグループです。
最初のひとりは科学的研究のため復活できるだろう、そうすれば
誓った仲間は次々復活できるだろう、という趣旨で結成されました。

日本では Metamorphosis Society が同様の試みをしています。
「未来によきことをし、未来に行こう」とするグループです。
ホームページは http:..www.kanon.to/ms.html にあります。
現在改造中で、今度はシンプルできれいなページにする予定です。
ドラフトが http://www1.kcn.ne.jp/~mai/mizuho/mizuho2.htm
にありますのでぜひごらんください。わかり易い英語になっていると
思います。

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JCA秋のオフやります!
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10月初旬を予定しています。次回マガジンで詳しくお知らせ
します。東京です。「いってみようかな」という方がいらしたら
cryo-j@kanon.toまでご連絡いただくと幸いです。

============クライオニクス・マガジン============
・毎月1日発行
・発行者:JCA(e-mail : cryo-j@kanon.to)
・発行人:山本 邦雄
・このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』
を利用して発行しています。( http://www.mag2.com/ )
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http://www.pubzine.com/detail.asp?id=793
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Bio Transport社設立!、他

クライオニクス・マガジン(第4号:1999/08)

日本初、そしてもちろん唯一のクライオニクス
(人体冷凍保存)についての雑誌です。
今月は夏バテにより、1日遅れ、かつ記事が少ないです。
ごめんなさい、来月はがんばります!

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Bio Transport社設立!
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昨年から検討されていた Bio Transport社がいよいよ設立に向け
動き出しました。21st Century Medicineと
アルコーの間で契約締結が間近になっています。現在、アルコーが
使っている保存技術は、年々多少の改良が加えられているとはいえ、
1980年代前半に確立されたものです。その後、アルコーと
クライオケアの分裂もあり保存手法は大きな改善がなされてきません
でした。クライオケアと関係が深い21st Century
Medicineは研究を進めていますが、現時点でサスペンション
サービスに乗り出す予定がありません。そこで、アルコーからの提案で、
最新の21st Century Medicineの技術を用いた
サスペンションサービスをする会社を設立しようとのことになり、
検討が重ねられていましたが、このほど、Bio Transport社が設立され、
アルコーとクライオケアの会員に対してサービスを提供することに
なりました。米国外の会員に対してサービスをどうするかはまだ
明らかにされていませんが、このサービスの提供により、既存のサービス
で保存されるより、回復の可能性が高まることは疑いないところです。

なお、アルコーは並行してサスペンションされたメンバの財産を
復活まで確保する信託サービスにもメドを付けつつあります。
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Transhuman関係のWEB紹介
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Transhumanという言葉を御存知でしょうか?
「人間を超える」技術全般と、それを推進する活動を指します。
ここ数年、米国を中心に「トランスヒューマニスト」を名乗る人が
増えてきました。キーテクノロジーを二つあげると、ナノテクノロジー
とライフ・エクステンションです。クライオニクスは後者の一分野と
言えましょう。以下にWEBリストを掲載します。ぜひごらんください。

Extropy Institute : http://www.extropy.org
Extro-4 : http://www.extropy.org/ex4/e4main.htm
Anders Transhuman Page : http://www.aleph.se/Trans
World Transhumanist Association : http://www.transhumanism.com
Transhumanisu Art Center : http://www.extropic-art.com

日本でもTranshumanistのグループを立ち上げませんか??
関心ある方はメールくださいね。

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日本でCryonicsサービスが受けられるか?、他

クライオニクス・マガジン(第3号:1999/07)

日本初、そしてもちろん唯一のクライオニクス
(人体冷凍保存)についての雑誌です。

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日本でCryonicsサービスが受けられるか?
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米国では千人もの人がクライオニクスの契約を済ませています。
本当に復活(reanimation)できるかどうかはまだまだ議論が
あるとしても、米国ではクライオニクスのサービスを受けること
自体は違法でもないし、冷凍保存の「初期処理」ができる人も
徐々に増えており、決して順調ではありませんがクライオニクス
のコミュニティが育ちつつあります。

日本ではどうでしょう? まだまだクライオニクスは気味の悪い、
得体の知れないものと考えられています。法律的に「死」が宣告
された体をいじることについては法的な壁があるようです。
(2000-5 注 法的な壁はなし)

それ以上に、魂が抜けた体をいじることに対する抵抗がとても
強いのが日本の特徴です。実は四年前、ホスピスでクライオニクス
サービスを提供できないかと調べたことがありました。ホスピスって
ご存じでしょうか? ガンなどで末期的症状になった人が、積極的
治療をせず、ゆっくりと安らかに、残り少ない人生をよきものとして
死んでいく施設です。ホスピスである限り、患者の「心の平安」
のためにあらゆることをする必要があります。クライオニクスの
サービスが受けられ、少しでも未来で蘇生できる可能性があることが
患者の「心の平安」につながるのであれば、ホスピスはクライオニクス
から目をそむけてはいけないわけです。

以上のような問いかけをホスピス関係者にしたところ、答えは、
「理屈ではわかる。しかしそうはいかないでしょうね。」
ということでした。これは四年たった今でも変わっていない
ようです。やはり日本では体を切り刻むことに対する心理的
抵抗は相当なものです。この時点でしばらくは日本で
クライオニクスのサービスを受けるのは難しいだろうと考え
ました。

では、日本に住む我々はどうすればよいのでしょうか?
個人的に米国に住むということはできるでしょう。が、
永住権もすぐには手にはいらないし、住むためにはビザが
必要で、たとえば米国では就労しなければビザは降りません。
ひとつの可能性として、自らクライオニクスサービスを
提供する会社を立ち上げて、そこの株主となると同時に
雇用契約を結ぶという可能性があるでしょう。

具体的には、ホスピスに隣接してクライオニクスプロバイダーを
設立するという形がベストでしょう。日本と違って、欧米、
東南アジアの一部、台湾などは日本よりはかなりプラクティカル
でホスピスと協力できる可能性があるでしょう。

また、できれば安楽死が認められている国がいいです。
というのも、将来の蘇生の可能性を考えると、なるべく
壊れていない脳と体で冷凍される方がいいわけです。
治る見込みのないアルツハイマーになったら脳神経が
壊れていくのを座して待つより、さっさと安楽死を選らんで
サスペンションされてしまったほうがいいわけです。

具体的にどこの地域がいいでしょうか?
いまのところ上記の条件を一番満たすのはオランダでしょう。
米国以外の何カ国かのメンバで協力して、オランダのどこかの
ホスピスを説得して隣接してクライオニクス・プロバイダを
設立することを真剣に考えていい時期かと思います。

JCAは、このような「日本で何をすべきか?」という議論
を進めています。7月16日か23日夜にミーティングをやる
予定です。メールマガジンの読者の方も参加いただけますと
大変に幸いです。ご連絡(cryo-j@kanon.toまで)お待ちして
おります。

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クライオニクスの情報源 Cryonet!
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世界どこでもコミュニケーションができるのが魅力の
インターネットですが、クライオニクス界も例外ではありません。
クライオニクスの活動をしている主な人がおおむね参加し、
充実した議論を毎日のようにしているメーリングリストがあります。
それがCryonetで、以下のようにすれば参加できます。

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以下のアドレスにメールを送ります。
cryonet-request@cryonet.org
題名に subscribe と書けば登録され unsubscribe と書けば
登録が抹消されます。

登録された後は、
cryonet@cryonet.org
にメールを送ることによりCryonet参加者全員に配送されます。

過去、投稿された記事は
http://www.cryonet.org/
もしくは
http://www.clark.net/pub/kfl/les/cryonet/
で見ることができます。もちろん英語でして、若干敷居が高い
かもしれませんが、参加すればとっても刺激的なこと間違いなし
です!

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・毎月1日発行
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クライオニクス団体 「なぜ、そんなに多いの??」、他

クライオニクス・マガジン(第2号:1999/06)

日本初、そしてもちろん唯一のクライオニクス
(人体冷凍保存)についての雑誌です。
今月号では米国のクライオニクス団体特集号です。

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クライオニクス団体 「なぜ、そんなに多いの??」
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アルコー生命延長財団の機関誌 Cryonics の最新号に
「なぜ、こんなに沢山の組織が?」という記事が掲載されました。
この記事を参照しながら米国のクライオニクス団体を紹介
したいと思います。(この記事はSF作家としても有名な
チャールズ・プラット氏によって書かれました。)

クライオニクスに限らず、何かの目的を達成しようとするなら
団体は大きければ大きいほどいいはずです。なぜ、それぞれが
大きな力を持っていないクライオニクス団体がたくさんあるので
しょうか? チャールズ氏によれば、初期の段階では「仕方がなかった」
ことだそうです。30数年前、エッチンガー氏が「不死への展望」を書いた
直後、クライオニクスに興味を持った人々は、クライオニクスを
実現するために、まず大企業か金持ちのパトロンを得て、研究や広報活動を
進めようとしました。しかし、初期のクライオニクスは科学的裏付けが
あまりに希薄だったためパトロンを得ることができず、それぞれの
地域ごとに「草の根的に」活動を始めなければならなかったのです。
カリフォルニア、ミシガン、ニューヨークなどいくつもの都市で
クライオニクス団体が立ち上がりました。

1980年代には多くのクライオニクス団体の中で、アルコーが
突出して成長しました。Jerry LeafとMike Darwin
の二人によって、よりすぐれた保存法が開発されたからです。
また、この時期ナノテクの考えが少しずつ広まり、細胞を凍結させ
解凍するために起こる損傷を治せるのではという期待が高まり、アルコー
は大きく成長したのです。

そのアルコーが、1993年秋に分裂しました。アルコーの本拠地を
カリフォルニアからアリゾナに移すかとどうか、移すとしたら
保存されている患者の資金を移動資金に充当っすべきか否か、などの
いくつかの意見の食い違いがありましたが、一番違ったのは
「いま、何に注力すべきか?」ということでした。

アルコーに残った人たちは、急進的なテクノロジ信奉者で、ナノテク
による回復に期待していました。カリフォルニアにのこった人たちは、
より現実の医学に近い視点を持っており、一刻も早く、回復できる程度
の損傷で冷凍保存ができるような技術の開発をめざしていました。
この残った人たちが、あらたな団体「クライオケア」を立ち上げます。

同時期に、ソウル・ケントが21世紀メディスン(21CM)を設立し
「完全な保存」をめざして研究を開始しました。クライオケアは21CM
に近く、研究の進展を重視しております。よって積極的な会員募集を
していません。ソウル・ケントと彼のパートナーで年間1億円もの研究費を
投入しており、このような額の資金を会費で集めることはできないからです。

アルコーは今は、凍結のための初期処置をできる人を増やし、クライオニクス
サービスを提供できる範囲を広げようとしています。積極的に会員を募集
しています。この二つが大きな団体ですが、これだけではありません。
エッチンガーのクライオニクス・インスティテュート(CI)はミシガン州で
健在ですし、21CMとは違った切り口で完全な保存を研究している
トランスタイム社もあります。おっと、忘れてならないのはナノテクの
創始者ドレクスラーのフォアサイト研究所ですね。では、以下に
クライオニクスに興味ある人の必見ホームページを掲載します。

クライオケア  http://www.cryocare.org/
アルコー    http://www.alcor.org/
トランスタイム http://www.transtime.com/
CI      http://www.cryonics.org/
フォアサイト  http://www.forsight.org/

日本からどのように参加しましょうか? テクノロジ信奉者なら
アルコーとフォアサイトの会員になったらいいでしょう。
完全な保存の研究に寄与するなら21CMに投資する可能性が
あります。今年中に投資を募集するとソウル・ケントも名言して
います。この情報もわかり次第お知らせすることとします。

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日本経済新聞にクライオニクス関係の記事掲載!
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4月25日の日本経済新聞の一面にクライオニクスの記事が載りました。
日本ではめずらしいことなので転載します。

−−− 「冬眠」待ち400人 −−−
医療革命は、「死」のあり方にも一石を投じている。
「生きたまま凍らせ、若返り技術が開発されたときに元に戻してほしい。
凍った状態なら何千年でも待ち続けられる」。SF小説の題材になる冷凍冬眠。
米カリフォルニア州のトーマス・ドナルドソン(55)はそんな未来技術を切望
している。
11年前、悪性の脳しゅようと診断され、生きたままの冷凍許可を求めて州政府
を提訴。「生き返るから死ではない」と主張するが、裁判所は「脳波がなくなれば
脳死。冷凍することは自殺ほう助に当たる」と判断した。その後病状は改善したが、
意志は変わらない。
米国にはそせい技術が実用化される日まで、死後の冷凍を希望する人たちがいる。
実際に遺体を冷凍保存する団体が4つある。最大手のアルコー生命延長財団だけで
予約者が440人いる。
まだ冷凍冬眠やそせい技術が実現するメドはたっていない。だが、医薬品開発の
米店頭企業、バイオタイム(カリフォルニア州)はヒヒやイヌを一度凍死させ、
約2時間後にそせいさせたと発表した。
病気やけがを治すのがこれまでの医療だったが、今や医療はその枠を超え、
多様な生と死の選択肢を提供し始めている。それは伝統的な価値観と摩擦を引き起こし、
人権や生命の尊厳にかかわる深刻な対立も生む。

============クライオニクス・マガジン============
・毎月1日発行
・発行者:JCA(e-mail : cryo-j@kanon.to)
・発行人:山本 邦雄
・本メールマガジンはパブジーンから発行しています。
http://www.pubzine.com/detail.asp?id=793
から登録・解除ができます。
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クライオニクスの歴史(JCAホームページより)、他

クライオニクス・マガジン(創刊号:)

日本初、そしてもちろん唯一のクライオニクス
(人体冷凍保存)についての雑誌、まぐまぐでも発刊です。
当面隔週水曜の発行です。この雑誌は、
(1)クライオニクスの基礎知識
(2)内外のクライオニクス関係の動き
(3)クライオニクス関連団体の紹介
の3本の柱で構成されています。どうぞお楽しみに!

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クライオニクスの歴史(JCAホームページより)
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(1)考え方、初期の保存
少なくとも、1920年代あたりから生命保存の考えは
検討されてきました。1964年にRobert C.W.Ettinger
氏によって発行されたThe Prospect of Immortality
(不死への展望)という本を皮切りに実際の人体冷凍保存学
は研究されはじめました。最初に冷凍されたのは1967年
1月12日に冷凍された James Bedford博士です。
エッチンガー氏は現在も現役で、Cryonics Instituteという
団体を主宰しています。現在、最大のクライオニクス団体
であるアルコー生命延長財団は1972年に設立されました。
アルコーは1976年に最初の冷凍保存を行いましたが、
70年代の保存技術は未熟なものであり、将来の回復
(Reanimation)についての展望もきわめて薄いものでした。

(2)ナノテクの考え導入による成長
1980年代前半に、医学的また科学的経歴を持つ二人の
人体冷凍学者がアルコーに参加したことで研究が進み、
保存法も改善されました。しかし、それでも回復については
展望がありませんでした。冷凍により細胞が凍り、解凍する
ときに受ける損傷により回復は望めないというのが科学者の
見解でした。状況が変わったのは、Eric Drexlerが
分子レベル技術(ナノテクノロジー)について書いた
Engines of Creation が出版されてからです。分子レベルの
大きさで、知能をもったロボット(アセンブラーと呼びます)
が細胞の損傷を直せるという推測が書かれています。
この本により多くの学者・技術者がクライオニクスに興味を
示すことになりました。この時期、アルコーも量的に大きく
成長しました。ドレクスラー博士もアルコーの会員であり、
フォアサイト研究所でナノテクノロジーの研究を進めて
います。

参考文献
・不死テクノロジー エド・レジス著 工作社
・ナノテクの楽園 エド・レジス著 工作社

ちなみにアルコーによる脳だけの保存の必要最低料金は
5万ドル程度です。もちろんこれは米国内の話です。米国で
非常時にアルコーがかけつけて保存をしてくれるという
保証料金は年額300ドル強です。くわしくはホームページ
をごらんください。5万ドルを払うことが難しい場合、
生命保険にはいって受取人をアルコーにするという選択も
あります。その場合、月額60ドル程度です。日本ではまだ
サービスはありません。イギリスではほぼサービスが可能に
なり、台湾でも別組織が準備中です。

(3)より完全な保存への挑戦
ナノテクノロジーは人類の価値観まで変えてしまうような
可能性を持ったものです。しかし、まだいかにすれば冷凍
された人を回復させるような「アセンブラー」ができるのか?
その道筋は示されていません。現代の医学の延長で、完全な
保存を実現すべく研究を続けている団体があります。
21世紀メディスン(21CM)がそれで、年間1億円を
こえる研究資金を投入しています。ここの中心人物は
Saul Kent で、かれはビタミン等寿命を伸ばす
(Life Extention)薬の販売事業で成功し、その収益を研究に
投入しています。あと何年で完全な保存が実現するか
については意見がわかれていますが、21CMと関係が
深かったPaul Wakferは20年以内と見積もっています。
が、その前提は100億円の研究費を毎年充てることです。
21CMは Saul Kentを中心とした小さなグループですが、
近々資金集めを再開するようです。なお、21CMに関連の
深いクライオニクス団体にCryocareがあります。

参考 : 関連した動き

1)回復への期待
回復への道筋が示されていない現在、クライオニクス団体は
回復を保証できるものではありません。が、回復の可能性
なしには人々はクライオニクスの世界に飛び込まない
でしょう。回復に関連する動きをいくつか紹介します。

・Life Pact
アルコー内部の団体です。もし自分が回復(Reanimate)された
ら Life Pactの他のメンバーの回復に尽力するということを
誓うグループです。最初のひとりは科学的研究のため復活
できるだろう、そうすれば誓った仲間は次々復活できる
だろう、という趣旨で結成されました。

・Reanimation Foundation
復活に備え、リヒテンシュタインで投信を利用して財産を
管理します。このグループで投信の契約をすると、それぞれ
Individual Reanimation Account を持ち、自分が法的に
死んだ後も財産を管理してもらうことができるとの
ことです。Saul Kentがリーダーです。もちろん、
Suspensionの契約をしていない人はこのグループのメンバー
になることはできません。

・Metamorphosis Society
よき未来を作るため努力し、その結果未来へ行こうという
団体です。Life Pactに近いですが、特定のクライオニクス
団体に属さず、Futuristのネットワークを作り、未来の
Futurist(すなわち後輩、仲間)によって回復させてもらう
ことを期待するネットワークです。いつかはReanimationの
手法が確立し、かつ安価になるはずですので未来の後継者
による復活が期待できると考えています。
米国、オーストラリア、ドイツ等にメンバがおり、
発起人は日本人です。

2)安楽死
安楽死が法的に認められているのはオランダと米国オレゴン州
です。ミシガン州が投票寸前、アリゾナ州でも法案が用意され
ています。この法案はクライオニクスにとって重要です。
たとえばアルツハイマーによって自分の脳が壊れていくのを
座して待つより、自ら生命活動を中断することができるかも
しれません。「死」はゆっくりとやってきます。
医学的に「死」と宣告されてからも復活の可能性は十分ある
わけです。一時期クライオニキストの間ではやったジョーク
を紹介しましょう。

「心臓が止まった?? うーん、そりゃちょっと
具合が悪いなあ(笑)」

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日本のクライオニクス関係の団体
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(1)JCA
1998年9月、日本在住のアルコー生命延長財団の
メンバが中心になってJCA(Japan Cryonics Society)
を発足させました。東京をベースに活動しています。
当面の目的は正しく理解されにくいこの「クライオニクス」
というものの正しい姿をできるだけ多くの日本人に伝えて
いくことです。そのためにホームページを開設して
おりましたがこのほどメールマガジンも発行することと
なりました。
メーリングリストには、遠隔地からの参加者もあわせて
10人強参加しています。ミーティングは隔月程度で開催
しています。

JCA : http://www.kanon.to/jcaindex.html

(2)Metamorphosis Society
前出の記事「1)回復への期待」を参照ください。現在、
残念ながら活発に活動ができていません。英語が得意な
アクティヴネットワーカの参加が望まれます。

Metamorphosis Society : http://www.kanon.to/ms.htm

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アルコー生命延長財団の紹介
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クライオニクス関連の団体としてまず紹介しなければなら
ないのがこの団体です。日本のマスコミでクライオニクス
関連の団体が紹介されるときには必ずといっていいほど最初
にこの団体がきます。冷凍保存の契約をしているメンバーが
400人以上、すでに10数名の患者を保存しています。
最近では、医学的「死」が近づいた人を確実に保存するため
の体制作りに力を入れています。中でも、多くのメンバに
「死」宣告後の人体への初期処置ができるようになって
もらうための教育に注力しています。
(初期処置が済んだらアルコーまで運んで本格的に
長期保存のための処置をするのです)
この教育は昨年始めて米国以外(イギリス)で行なわれ
ました。

アルコー生命延長財団 : http://www.alcor.org

============クライオニクス・マガジン============
・隔週水曜発行
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