BioTransportの新サービス いよいよ始動!、他

クライオニクス・マガジン(第21号 2001/1)

あけましておめでとうございます。今月は興味深い
ニュースがあります。そのニュース一本で新世紀新年号を
お届けします。今年もよろしくお願いします。

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BioTransportの新サービス いよいよ始動!
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待ちに待ったBioTransport社のサスペンションサービスが
提供されるとアルコーから通知がありました。
復習します。現在、最も優れたサスペンション(低温保存)
サービスを提供しているのはアルコーですが、それも実は
1970年代に確立された技術です。20年程前、世界で
最も優れたCryobiologist(低温生物技術者と訳しておきます)
のグレッグ・フェイがvitrification(ガラス化)を提唱しました。
凍結ではなく、細胞を低温のガラス状態にすることにより生物
の機能を停止させる技術です。2年前大きなブレイクスルー
があり、臓器レベルの保存・再生までいま一歩のところまで
来ています。(その一歩がなかなか難しいのですが・・)

BioTransport社はアルコーの主要メンバにより設立され、この
vitrificationの技術をフェイが主任研究員である21st Century
Medicineから提供され、実際にサスペンションサービスに
適用する準備を進めてきましたが、このほど提供できる見通し
がたったということです。ガラス化したあとの保存施設の
問題があり、当面Neuropatient(頭部のみ)だけのサービス
です。今年の早い時期に価格も決まる見込みです。体全体の
保存のためには現在の施設は使えないそうです。施設を作る
には数千万円の予算で何ヶ月もかかるとのことで、資金集めを
しようとしています。

21st Century Medicineは人体の完全な低温保存・回復を実現
すべく研究を続けています。再度確認しておくべきことは、
すぐれたvitrification技術を使って保管されても、現代の
回復技術では再生することはできません。が、いままでの
凍結による保存に比べれば、未来で再生できる可能性は
飛躍的に高まったと言えるでしょう。

JCAでは引き続き技術開発の状況をウオッチし、
みなさまにお伝えする予定です。お楽しみに。

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日本からクライオニクスサービスを受けるために、他

クライオニクス・マガジン(第20号 2000/12)

いよいよ世紀末、新世紀はクライオニクス飛躍の世紀に・・

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日本からクライオニクスサービスを受けるために
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JCAではいざというときに米国できちんとクライオニクスのサービスを
受けられる体制作りに着手しています。Paul Wakferの助言もあり、
アルコーの近隣に、以下のようなミッションを持つサポートグループを
作ろうとしています。

ミッション :
死期が近い米国外の市民が、スムーズにサスペンションサービスを
受けるための私怨を行なう。

1)死を迎えるまで暮らす部屋を見つける
2)ホスピスケアが必要な場合、ホスピスを紹介する。
3)クライオニクスに理解を示す医者を紹介する。
(サスペンションが迅速に行なえるようにすばやく検死をする)
4)米国に着いたとき、生活するのに必要な情報を提供するなど
のガイドをする。
5)もし必要であれば、サインアップを手伝う。
(サインアップ=サスペンションサービスを受けるための契約をすること)

このようなグループをどうやって作っていくか調整を始めたところですが、
アルコー自身もまだクライオニクスに理解を示している医者のリストの
整備はできておらず、まだまだグループができるまでには時間がかかり
そうです。

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日本でのサービスを受ける体制の整備
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JCAでは、日本でクライオニクスを受ける希望者が受けられるように
する環境整備に着手する予定です。5月号を参照いただきたいのですが、
homas Donaldsonさんの投稿が示すように、事故等の突然死を別にすれば、
死は徐々にやってくるもので、その場合、市民権なしに米国にわたって
サービスを受けることは可能なので、そのための枠組みを作ったらどうかと
いうことです。

具体的には、生命保険の受取人を米国のクライオニキストにして、その人に
手数料を保険金の中から払って動けなくなったとき誰に助けてもらう契約を
すればいいわけで、その契約のひながたをアルコーと協力して作ろうかと
思います。その契約の中でサインアップ代行までやってもらえば実に簡単です。
契約の写しは必ずアルコーにいくようにするのです。

復活のほうは Metamorphosis Society での復活を考えていますが、
米国にわたってLifepactにはいるという選択も選べるようにしたほうが
いいと思います。

8月から数か月でこの調整とひな型作りをします。この作業をいっしょに
やっていただける方を募集します。ご連絡お待ちしております。

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アルコーカンファレンスの報告、他

クライオニクス・マガジン(第19号 2000/11)

またまた遅れての発行です。アルコーの報告+1です

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アルコーカンファレンスの報告
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ちょっと遅くなりましたがアルコーが6月に開催した会議の
報告をします。われわれの見方では、アルコーの現在を限界
を示すように思えます。Eric Drexsler, Ralph Merkleという
ナノテクノロジー関係者がやはり中心です。かれらは会議で
最初にこう宣言しました。
「まず、より少ない損傷で保存する技術、次に
損傷した組織をより完全に復元する技術が必要だ。」

この見方が間違えているとは思いません。ナノテクは
クライオニクスに大いに貢献するでしょう。しかし、
一端活動停止した生命体の活動を再開するにはもっと
別の技術も必要なはずなのです。21CMが研究している
ものです。

今年、ひとのゲノムが解析されたことにより、老化防止の
研究への期待も高まっています。アルコーの機関誌では
このカンファレンスのプレゼンテーションについて8人
を7ページで紹介していますが、Glennna Burmer博士の
「老化遺伝子の特定」や Michael West博士の「クローン
による人の治療」は1ページ以上割いて報告されています。
もちろんこれははクライオニクスにとって重要な技術です。
しかし、それは周辺技術なのです。

本流の21CMからは Brian Wowk と Grag Fahy がプレゼン
しました。確かに内容としては2年前に大々的に発表した
新技術の研究(http://www.kanon.to/21cm1998.htmlを参照
ください)がたんたんと進んでいることを述べているだけで
目新しくはないのですが、7ページの報告の最後のページ
で二人のプレゼンが紹介されていただけです。もう少し
光を当てる必要があると思いました。

このカンファレンスには200人が参加しました。
ちょっと不謹慎ですが、おもしろかったのは、
会議中に一人の参加者が倒れ、危険な状況に陥ったの
ですが、アルコーのレスキューチームはすばやく動き、
サスペンション(低温保存)の準備を整え、
救急体制がきちんと機能することを証明したとのことです。
(このメンバは幸い死にいたりませんでした)

来年こそはJCAから参加したいものです。

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日本でもナノテクを推進
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これもちょっと旧聞に属しますが、科学技術庁は、8月に
つくばにある物質材料研究機構の内部に「ナノテク物質研究
センター」を設置すると発表しました。2001年度予算で
33億円です。周知のように米国はナノテクを国家戦略上の
最重要技術のひとつと位置づけ推進しています。日本は
重要な技術である研究室が先行しながら、周囲の理解が得られず
米国に破れるという事例が多いです。ナノテクはぜひ先頭を
走ってもらいたいと思っております。

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つれづれなるままに、他

クライオニクス・マガジン(第18号 2000/10)

“The First Immortal” 角川から翻訳出版が内定!!

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つれづれなるままに
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評判の”The First Immortal”、7月に著者から日本での翻訳・出版権
を取得いたしました。先月、ハルペリンの前作”The Truth Machine”を
翻訳出版している角川と打ち合せを行ない、出版が内定しました。

ここ半年、このマガジンの発行部数が伸びていません。約250名で
伸びが止まってしまいました。クライオニクスについての正しい情報を
迅速にお伝えするというミッションは十分に達成されていませんが、
達成されたとしてもクリオニクスに興味を持っていただくメンバを
増やすのは、日本では難しいような気がしてきました。

“The First Immortal”は、単なるSFではなく、「死」「生命」について
倫理的にも社会的にもするどく切り込んだもので、クライオニクスの考え
を日本に広めていくのにまたとない本です。この本を翻訳し、きっちり
解説を書くことをこらから必死にやるつもりです。英語に強いメンバは
限られているので、このマガジンの編集は少し手を抜かせていただくかも
しれません。が、ぜひ日本に伝えたい世界の動向は必ずお伝えして
いきたいと思います。今後ともお付き合いいただきますようお願いします。

今月は、ぜひみなさまにお伝えしたいことはありませんでした。
ちょっと期待できるのは、最も研究の進んでいる21st Century Medicine
が、その研究成果の発表を少しずつ始めたことです。近いうちに
詳しくご報告できればと考えております。

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再びHSCP(http://www.neurocryo.org)、他

クライオニクス・マガジン(第17号 2000/9)

Paul Wakferが進めているプロジェクト、
Hippocampal Slice Cryopreservation Project (HSCP)
を日本からも支援しませんか?

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再びHSCP(http://www.neurocryo.org)
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今月もHSCPについて書きます。この研究は、思ったよりはるかに
重要であることがわかってきました。

何度かお伝えしているように、クライオニクス技術の開発で先行して
いるのは21st Century Medicine (21CM)です。21CMはおととし
「合成アイスブロッカー(合成氷遮断剤)(注:凍結保護物質の機能を
高める物質)」と新しい凍結保護物質(注:低濃度・高温でもガラス化
を実現できる物質)を開発しました。これにより復温時の(損傷の)問題
を回避できる見込みでであると発表しました。

21CMの実験は、ウサギの腎臓を対象に行なわれました。ウサギの腎臓は
95%回復できたというが、腎臓を「機能的に生かすことができた」わけでは
ありません。「細胞レベルで生かすことができた」だけです。INC
(HSCPの実施主体)は、ウサギの海馬薄片でも同じ成果をあげるために実験
を続ける予定で、そのためのファンド(基金)を募っています。
INCは21CMから全面的な協力を得ています。この、海馬薄片を冷凍保存
するプロジェクトがHSCP(海馬薄片冷凍保存プロジェクト)です。

これが実現すれば、INCは、プロジェクトの本来の目的である脳の薄片の完
全な保存に挑戦します。そのためには、さらなる資金が必要で、脳全体の
保存はその次、全身保存はそのまた次なのです。

21CMは、クライオニクスの研究をするための会社ABSの設立を予定して
いるとおととしから発表していますが、まだできていません。現時点では
HSCPが最も注目すべき研究です。現在、HSCPはCryonics Society of
Canadaの創始者であるBen Bestなど少数の人間によって支えられています。
Benも、21CM研究者のトップであるGreg Fahyが「この研究は進めるべき」
を判断したから資金を拠出したとのことです。独自に研究をすすめている
エッチンガーも1万ドルを拠出することに決めたそうです。

Fahyの指導ものと研究をすすめるYuriは優秀なcryobiologistで、
21CMの研究にも役にたつ人材です。その研究はアルツハイマーや
パーキンソン病の治療にも役にたつだろうと言われています。ウクライナ
の人です。クライオニクス技術の進展を真に願うのであれば、この
研究にはいくばくかの資金をだすべきと思います。

質問等あればcryo-j@kanon.toまでコンタクトくださいませ。

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CIのフレンドリーなサービス
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日本でクライオニクスを受ける希望者が受けられるようにする環境
整備を検討している過程で、Cryonics Institute(CI)の中心人物と
意見交換する機会がありました。CI(http://www.cryonics.org/)は
クライオニクスの創始者エッチンガーが設立した組織です。
日本からサービスを受ける場合も大変手厚く世話をしてくれるようです。
ヨーロッパではBarry Albin & Sons(http://www.albins.co.uk/cryonics.htm)
という団体があり、ヨーロッパで死んだ人を簡易的に冷凍保存してCIまで
運ぶような会社もあります。日本でもこのような形でサービスを提供するのは
そんなに難しい話ではないかもしれません。現時点、JCAではこのような
検討をする余力がありません。どなたか、新しくメンバになってこのような
検討をされませんか??

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