クライオニクス団体 「なぜ、そんなに多いの??」、他


クライオニクス・マガジン(第2号:1999/06)

日本初、そしてもちろん唯一のクライオニクス
(人体冷凍保存)についての雑誌です。
今月号では米国のクライオニクス団体特集号です。

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クライオニクス団体 「なぜ、そんなに多いの??」
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アルコー生命延長財団の機関誌 Cryonics の最新号に
「なぜ、こんなに沢山の組織が?」という記事が掲載されました。
この記事を参照しながら米国のクライオニクス団体を紹介
したいと思います。(この記事はSF作家としても有名な
チャールズ・プラット氏によって書かれました。)

クライオニクスに限らず、何かの目的を達成しようとするなら
団体は大きければ大きいほどいいはずです。なぜ、それぞれが
大きな力を持っていないクライオニクス団体がたくさんあるので
しょうか? チャールズ氏によれば、初期の段階では「仕方がなかった」
ことだそうです。30数年前、エッチンガー氏が「不死への展望」を書いた
直後、クライオニクスに興味を持った人々は、クライオニクスを
実現するために、まず大企業か金持ちのパトロンを得て、研究や広報活動を
進めようとしました。しかし、初期のクライオニクスは科学的裏付けが
あまりに希薄だったためパトロンを得ることができず、それぞれの
地域ごとに「草の根的に」活動を始めなければならなかったのです。
カリフォルニア、ミシガン、ニューヨークなどいくつもの都市で
クライオニクス団体が立ち上がりました。

1980年代には多くのクライオニクス団体の中で、アルコーが
突出して成長しました。Jerry LeafとMike Darwin
の二人によって、よりすぐれた保存法が開発されたからです。
また、この時期ナノテクの考えが少しずつ広まり、細胞を凍結させ
解凍するために起こる損傷を治せるのではという期待が高まり、アルコー
は大きく成長したのです。

そのアルコーが、1993年秋に分裂しました。アルコーの本拠地を
カリフォルニアからアリゾナに移すかとどうか、移すとしたら
保存されている患者の資金を移動資金に充当っすべきか否か、などの
いくつかの意見の食い違いがありましたが、一番違ったのは
「いま、何に注力すべきか?」ということでした。

アルコーに残った人たちは、急進的なテクノロジ信奉者で、ナノテク
による回復に期待していました。カリフォルニアにのこった人たちは、
より現実の医学に近い視点を持っており、一刻も早く、回復できる程度
の損傷で冷凍保存ができるような技術の開発をめざしていました。
この残った人たちが、あらたな団体「クライオケア」を立ち上げます。

同時期に、ソウル・ケントが21世紀メディスン(21CM)を設立し
「完全な保存」をめざして研究を開始しました。クライオケアは21CM
に近く、研究の進展を重視しております。よって積極的な会員募集を
していません。ソウル・ケントと彼のパートナーで年間1億円もの研究費を
投入しており、このような額の資金を会費で集めることはできないからです。

アルコーは今は、凍結のための初期処置をできる人を増やし、クライオニクス
サービスを提供できる範囲を広げようとしています。積極的に会員を募集
しています。この二つが大きな団体ですが、これだけではありません。
エッチンガーのクライオニクス・インスティテュート(CI)はミシガン州で
健在ですし、21CMとは違った切り口で完全な保存を研究している
トランスタイム社もあります。おっと、忘れてならないのはナノテクの
創始者ドレクスラーのフォアサイト研究所ですね。では、以下に
クライオニクスに興味ある人の必見ホームページを掲載します。

クライオケア  http://www.cryocare.org/
アルコー    http://www.alcor.org/
トランスタイム http://www.transtime.com/
CI      http://www.cryonics.org/
フォアサイト  http://www.forsight.org/

日本からどのように参加しましょうか? テクノロジ信奉者なら
アルコーとフォアサイトの会員になったらいいでしょう。
完全な保存の研究に寄与するなら21CMに投資する可能性が
あります。今年中に投資を募集するとソウル・ケントも名言して
います。この情報もわかり次第お知らせすることとします。

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日本経済新聞にクライオニクス関係の記事掲載!
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4月25日の日本経済新聞の一面にクライオニクスの記事が載りました。
日本ではめずらしいことなので転載します。

−−− 「冬眠」待ち400人 −−−
医療革命は、「死」のあり方にも一石を投じている。
「生きたまま凍らせ、若返り技術が開発されたときに元に戻してほしい。
凍った状態なら何千年でも待ち続けられる」。SF小説の題材になる冷凍冬眠。
米カリフォルニア州のトーマス・ドナルドソン(55)はそんな未来技術を切望
している。
11年前、悪性の脳しゅようと診断され、生きたままの冷凍許可を求めて州政府
を提訴。「生き返るから死ではない」と主張するが、裁判所は「脳波がなくなれば
脳死。冷凍することは自殺ほう助に当たる」と判断した。その後病状は改善したが、
意志は変わらない。
米国にはそせい技術が実用化される日まで、死後の冷凍を希望する人たちがいる。
実際に遺体を冷凍保存する団体が4つある。最大手のアルコー生命延長財団だけで
予約者が440人いる。
まだ冷凍冬眠やそせい技術が実現するメドはたっていない。だが、医薬品開発の
米店頭企業、バイオタイム(カリフォルニア州)はヒヒやイヌを一度凍死させ、
約2時間後にそせいさせたと発表した。
病気やけがを治すのがこれまでの医療だったが、今や医療はその枠を超え、
多様な生と死の選択肢を提供し始めている。それは伝統的な価値観と摩擦を引き起こし、
人権や生命の尊厳にかかわる深刻な対立も生む。

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